チョークアートのブラックボードは黒板じゃない?

こんにちは!
IRIE CHALK WORKS神田です。

 

今日はチョークアートで使うブラックボード
についてお話していきたいと思います。

 

チョークアートの黒板って100均で売ってる黒板とは違いますか?

 

家にある黒板にオイルパステルで描こうと思ったらうまく描けなかったんですけどなぜですか?

 

よくお客様や生徒さんからこのように聞かれます。

 

私が描くチョークアートはチョーク(白墨)
ではなくオイルパステルを使って描いています

 

チョークアートは何で描くのか?については
こちらの記事をご覧ください。

【チョークアートとは?】

 

オイルパステルは学校の黒板や市販されている
「黒板」には描くことができません

逆にチョークアートで使用するブラックボードに
チョークで描いてしまうと消すことができません。

 

近年チョークアートの知名度は上がってきましたが
チョークアートが何で描かれているのか?
どんなボードに描いているのか?
という部分はまだまだ知られていません。

 

まず、チョークアートを描く黒板は学校などの
黒板とは違うものです。
チョークアートではボードを「黒板」とは呼ばず
「ブラックボード」と表現することが多いです。

 

そして基本的にブラックボードも
アーティストが
自ら制作しています

 

チョークアートのことをよく知らない方も、すでに
チョークアートを描いている方も、ボードについて
知っていただくいい機会かと思いますので、簡単に
解説していきますね。

 

黒板ってそもそも何?

まず「黒板」と聞いて思い浮かぶのは学校の教室に
あった大きな黒板ではないでしょうか?
爪で引っ掻くとすごく嫌な音がするやつです。笑

 

ここ5~10年くらいですかね?
チョークアートの知名度が上がったことや
インテリアをDIYする方が増えたことにより
黒板を販売する店も増えた気がします。

100均でも売っていますよね。
ホームセンターでは壁に塗るだけで黒板になる
塗料や黒板シートになる壁紙も販売されています。

私がライブペイントを行う際に使用している大きな
ボードも黒板シートを活用したものです。

 

ちょっと話が逸れてしまいましたが…

一般的に「黒板」とは学校の教室にあった
チョークで描き消しできるものを指します。

 

では、あの黒板ってそもそも何で出来てるんでしょうか?
ここでちょっとだけ黒板の歴史について触れておきましょう。

 

黒板は明治時代に日本で学校制度が始まった時
アメリカから日本に持ち込まれました。

 

初の国産黒板が作られた当時は、墨汁を塗った上に
柿渋を上塗りしたものや硫酸鉄と煎液を混合して
塗った簡易的な物だったそうです。

 

大正時代に入ると黒板専業メーカーが出現し、
昭和に入ると戦争によって材料調達が難しく
なりました。
終戦後、資材の調達や日本工業規格表示工場
の許可をめぐって黒板工業連盟を結成。
昭和29年JIS規定が制定され、
塗面が黒からグリーンに変わりました

 

黒板がグリーンに変わったのは?
黒の染料が入手困難であったことに加え
目に優しい深緑色が採用されるようになったそうです。
他にも、戦後に明るい雰囲気を持たせたかったことや
鎮静作用等の心理的効果など、理由も諸説あり。

 

昭和35年以後、スチール鋼板を下地にした
黒板が普及し、これにより磁石(マグネット)
が使えるという画期的な黒板に変革しました。

 

以前は手作業で製造されていた研ぎ出し黒板です
が、現在は
ホーローガラス質を表面に焼き付けた
ホーロー製と黒板用塗料を塗布して焼き付けた
スチール製があり、
ホーロー製が主流です。

 

黒板表面は凹凸はあるもののチョークアートの
黒板よりツルツルしていて、チョークで描き、
黒板消しで消すことができます。
学校の黒板は基本的に水拭きNGですが、市販
されているスチール製の黒板は水拭きで消すこ
とができます。

 

最近では電子黒板も普及しており、小学校でも
1人1台PCを持って授業をしていますので、
学校から黒板やチョークがなくなってしまう日
も遠くないんでしょうね。
少し寂しいです。

 

チョークアートは普通の黒板にも描ける?

では、チョークアートは学校の黒板や市販の
黒板に描けるのか?

 

答えはNoです。

 

まず、チョークアートで使用している画材
【オイルパステル】は黒板のようなツルツル
した面には描きにくいという問題があります。

 

また、黒板にオイルパステルで描いてしまうと
簡単には消すことができません。

 

オイルパステルは触っても消えることはありま
せんが、そのままでは汚れや傷がつくので定着
させるためのコーティングが必要になります。

 

アーティストによってコーティングに使用する
スプレーが異なると思いますが、私が使用して
いるスプレーは屋内使用をおススメできません。

 

そのため、室内に設置されている学校の黒板に
スプレーするのは大きさ的にもなかなか難しい
と思います。

 

市販されているインテリア用の黒板も基本的には
チョークやマーカーで描き消しするものなので、
画面がツルツルしています。

学校の黒板同様、
オイルパステルで描くには不向きです

 

チョークアートのブラックボードの素材は何?

では、チョークアートのブラックボード
とは何で出来ているのか?

 

POINTMDFという板にジェッソという下地塗料を
塗布してアーティスト自ら制作しています。

 

MDFは
正式名称を Medium Density Fiberboard
という木質ボードの一種です。

日本語では中質繊維板、もしくは中密度繊維板
と呼ばれ、細かく粉砕した木材等を板状に成形
したものです。

MDFは適度な強度があって表面が滑らかで
木目がありません。

 

MDFは木材の中でも温湿度による寸法の変化
が少ないというメリットがあります。


木目がないことも絵を描くうえでメリットですね。

 

また、表面が滑らかなので、切る・塗る・そのまま
使うといった作業が容易に行えます。
また、ホームセンターやネット販売で手軽に入手できます。

 

ただしMDFには注意点やデメリットも存在します。

水分に弱いので湿気が多い場所での使用や
水濡れには注意が必要です。
繊維状の素材のため水分を吸収しやすく、多湿
な状態で放置しているとカビが発生したり、
濡れると膨れてしまったりすることもあります。

 

そのためチョークアートは屋外仕様に不向きです。

 

また、チョークアートは壁面に飾ることが多く
額に入れて使用することも多いです。
そのため
軽量・薄型のボードの方が使いやすいです。

 

ブラックボードを作るには?

まず、チョークアートを描く際に使用する画材
【オイルパステル】はツルツルした面に
描きにくいという点があります。

オイルパステルで描くためにはボードに
適度なざらつきが必要なのです。

前述したように、黒板はツルツルしていますので
オイルパステルがのりにくいのです。

そこでMDFボードにホルベインのジェッソという
下地材を塗って作ります。

 

POINTジェッソとは、絵を描く前(画材を乗せる前)に様々な支持体(キャンバスや板など)に塗る下地材です。ジェッソを塗ることで、絵の具など画材の定着を良くしたり発色を良くしたり、絵画の保存性にも影響してきます。キャンバスや木に塗る事で目止めにもなります。

 

ジェッソを塗るとマットで半吸水性の画面が
出来ます。
何層塗るかはアーティストによって
異なると思いますが、繰り返し塗る際は手際
よく塗る必要があります。
ムラにもなりやすいので注意しましょう。

 

ジェッソには4種類の色があります、

  • ブラックジェッソ(黒)
  • カラージェッソ
  • クリアジェッソ(半透明)

 

また、同色ジェッソでも粒子の粗さが4種類あり、
乾燥後の地肌が異なります。

  1. ジェッソ[S]
    一番粒子の細かいジェッソ。
    細かい粒子で陶器やガラス面のような画肌になる。
  2. ジェッソ[M]
    標準的な粒子で画面もチョークアート向き。
    初心者はこれを使えば問題なし。
  3. ジェッソ[L]
    少し荒い粒子のジェッソです。
    40ミクロンの粒子でザラザラした画肌になります。
  4. ジェッソ[LL]
    物凄く荒い粒子のジェッソで超ザラザラになります。

オイルパステルがボードにしっかりのるように、
適度に凸凹した画肌になるジェッソを塗って
ブラックボードを作ります。

 

あまり厚塗りにならないよう、
初心者でも塗りやすいローラーを
使って塗布するのがおススメです。
私はスポンジタイプを使っています!

 

まとめ

チョークアートのブラックボードは
黒板ではなく
MDFボードに塗料を
塗って作ります。

オイルパステルがボードにしっかりのるように、
適度に凸凹した画肌になるブラックジェッソを
塗ってブラックボードを作ります。

粒子サイズは【M】を使用し、ローラーで塗ります。

 

さて、今回は「ブラックボード」に焦点を当てて
お話してみました。

 

黒板の歴史やMDFやジェッソについて、
普段使っている画材でも意外と知らない
ことが多かったのではないでしょうか?

 

今度は描く画材のオイルパステルやチョーク
についてもお話できたらと思っています。
誰かのお役に立てれば嬉しいです♪

 

それでは今日はここまで。
お読みいただきありがとうございました。

神田 奈津江

神田 奈津江

チョークアーティスト&白墨堂大宮校 講師。幼い頃からお絵描きが大好きだったこともあり、子育て中に出会ったチョークアートに魅了され、第2子出産後”チョークアートの白墨堂”で学び始める。2014年プロ資格を取得しオーダー制作を始め、2017年ティーチャー資格を取得し”チョークアートの白墨堂 大宮校”の講師となる。【カッコかわいい】をモットーに男前すぎず、かわいらしすぎないテイストで描く。レッスンは【丁寧】をモットーに、生徒さんのなりたい方向へ導く指導を心がけている。



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